JUDI四国
20th

四国の

微笑みの

風景

四国をデザインしている人々

筒井眞弘さん(高知県)

  1. 箇条書き項目 現在どんな仕事をされていますか?


ランドスケープ関係の中で公園、建築物の外構、ビオトープなどが主な仕事で、現在はバイオを利用した下水浄化施設の設計を行っている。


(1)バイオを利用した下水浄化施設の設計

土壌菌による水質浄化を行う。土壌菌は水に住む微生物より強い。トイレなどの下水を植物と土壌菌で浄化すると、江ノ口川ぐらいの水質には浄化が可能であり、山間部や公園等で有効な手法だ。

このシステムは分離層で固体と液体に分けてから、液体を浄化するもので、メンテナンスフリーであることが特徴だが、広い処理面積が必要となる。

ごめんなはり線の安芸市内3駅のトイレがこの方法を用いている。このトイレの場合は屋根の上に浄化施設を作ったので、夏にトイレ内の温度を下げる効果もある。


(2)岡山大学の実験施設兼水辺ビオトープ(岡山県)

岡山県の産廃業者から水質汚染問題(マンガン)の関係で依頼があった。防水層の材質とマンガンが反応して防水層にマンガンが付着するため特別な処置はいらなかった。


(3)アユ踊るキャンプ場(高知県安田町)

高知県における、比較的初期のキャンプ場の整備事例である。既存の樹木を出来るだけ残すことで、雰囲気のいい空間をデザインした。


  1. 箇条書き項目 仕事では、どんなところにこだわっていますか?


ランドスケープの精神に則る事にこだわりをもっている。敷地内だけで考えるのではなく、周辺の歴史や環境とのつながりを大切にしながらデザインするようにこころがけている。

また、デザインも重要だが竣工後の維持管理まで考えてデザインしている。バイオを利用したメンテナンスフリーの水質浄化などが、その例だ。


  1. 箇条書き項目 これまでのJUDIの活動で面白かったものは?


愛媛県の芸予要塞は、軍の施設の遺構を公園化しようとする動きに興味を引かれた。使用されなくなった軍事施設を公園化する発想はすばらしいと思う。

愛媛県の八幡浜の土木遺産を見学した際に道中で見かけた、ヒメツルソバが自転車を覆って町の風景にとけ込んでいる事が印象的だった。


  1. 箇条書き項目 興味深い事例をおしえてください。


・京都府西芳寺(苔寺)

 特有の気候で成り立つ美しさが面白い。


・桂離宮

 全国から様々な素材を集めて、バランスよく使われている。


・須崎

 須崎から横浪半島へ向かう道の浦ノ内湾の手前のトンネル付近にツツジが群生している場所があり、その風景がすばらしい。


・高知県芸西村和食の琴ヶ浜

 土佐湾を一望できる


・三原村

 原生林ヒメシャラの幹が真っ赤に色づくと、とても美しい。


  1. 箇条書き項目 JUDI会員へのメッセージ


専門分野だけに目を向けず、建築、土木の意見交流を深め、つながりを仕事に生かしていきたい。たとえば、自分の設計した公園に自分の子供を連れて行っても思った通りに遊んでくれない。自分の考えだけでは足りない部分を、他の分野の方などと議論をしながら補っていきたい。

例えば、河川関係の仕事で水辺のスロープを設計する際に、勾配が急になるためスロープは諦めて水辺には近づけないようにしようと考えていた。実際に車いすを使っている方にヒアリングしたら、勾配が急でも腕力がある人なら上っていける。勾配が急なことを看板などで知らせれば管理上問題ないという意見だった。文献だけではわからないことが、人の意見を聴くことで得られることは多い。

顔写真


筒井眞弘(つつい まさひろ)

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