JUDI四国
20th

四国の

微笑みの

風景

四国をデザインしている人々

真田純子さん(徳島県)

  1. 箇条書き項目 現在どんな仕事をされていますか?


土木の仕事は、国土に介入する仕事なので、環境と人との関係、社会のあり方、人の暮らしなど、広い視野をもって研究、教育を行っている。

近年では、一次産業のつくる風景の継承、保全に興味がある。


(1)徳島大学地域再生塾


徳島県那賀町で、住民の方々とのまちづくりの会合を月に1回開催している。そのなかで、地域景観を守るため、特産のゆずを売り出すプロジェクトを進めている。


(2)那賀町の林業土木遺産の調査


林業の盛んだった那賀町の木頭地区には、鉄砲堰や木馬道など、木材運搬のための土木施設や技術が数多く残っている。しかしながら、運搬方法が川での流送からトラック輸送に変化したために、施設のみならず、それにまつわる技術も失われつつある。土木施設や技術を調査し、一時代の文化として後世に残していければと思う。


(3)吉野川市美郷での農業・石積み体験


美郷には、斜面に積み上がる石積みの段畑がある。段畑や棚田の風景は、全国各地で見られるが、過疎化や高齢化によって耕作できず、森林にかえるところも少なくない。その風景を支える「生活」から風景を考えることが大事である。そこで、たんに「美しいから守りましょう」という前に、そこでどのような暮らしがあるのかを知るため、農業や石積みの体験を企画している。


  1. 箇条書き項目仕事では、どんなところにこだわっていますか?

外に出ること、実感することにこだわっている。四国にいるからこそ出来ることが沢山あると思う。


  1. 箇条書き項目 これまでのJUDIの活動で面白かったものは?


鉄砲堰に見学に行ったこと。林業用の(こわれかけた)吊り橋を渡ったり、山奥のかつてのにぎわいを感じることができて楽しかった。


  1. 箇条書き項目 興味深い事例をおしえてください。


那賀町では、道が細く、車が十分にすれ違えないところも多かった。数十年前、結婚式の花嫁を乗せた車は「出戻り」を嫌って離合できない隘路でも決してバックしなかったそうである。たとえ相手がバスであってもバックしてもらっていたそうだ。そこで、花嫁を乗せた車は、お金やたばこを用意しておき、バックしてもらった車の運転手に配っていたということである。こうした「山間部ならでは」のインフラにまつわる話が、とても興味深い。これから集めて行きたいと思う。


  1. 箇条書き項目 JUDI会員へのメッセージ


四国ならではの活動を精力的に進めていきたい。産業と風景、食と風景など、生活のつくる風景に焦点をあて、これからも活動していきます。



 


真田純子(さなだ じゅんこ)

徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部 助教

広島県出身。東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程修了。2007年より現職。博士(工学)。専門は景観工学、緑地計画史。著書に「都市の緑はどうあるべきか」(技報堂出版)がある。徳島に住み始めてからは、一次産業のつくる風景を継承していくため地場産業の活性化や石積み体験などの活動に取り組んでいる。