四国の
微笑みの
風景
四国をデザインしている人々
本田寿さん(愛媛県)
現在どんな仕事をされていますか?
建築設計監理をしている。建築主から依頼が来ると事前調査から計画、実施設計、工事発注、現場の工事監理、完成後引き渡しをする。特に、維持管理を重視している。
他には、官庁の仕事として、以前に設計監理をしていた物件の改修工事関係で声をかけていただいたり、住宅の設計にも関わっている。
どのような建物に関わられてきましたか?
1番に挙げられるのが西予市城川町のギャラリーしろかわ。建築の用途としては美術館で、かまぼこ板の絵の展覧会をやっている。完成したのは平成5年。また、同じ城川町の泥んこ祭り保存館。これは平成7年に完成。
又、会社に務めていた頃は会社の作品だが、伊予郡の砥部町の庁舎を担当した。
住宅も何軒かある。 最近出来たのは砥部町の万代邸や城川町の高橋邸。
仕事では、どんなところにこだわっていますか?
建物が完成した後の維持管理にこだわっている。建築設計者が内容を1番良く知っているから、建物がある間は、設計者の責任として維持管理に力を注いできた。例えば災害が起きた時の対応の仕方とか、常日頃の建物の維持管理等、使用者にアドバイスや相談を行っている。
当然、最初の事前調査から係わっているのでその建物を良く知っている。建物が今後100年単位、200年単位で使われて行く中で、しっかりと設計管理者としての仕事をしなくてはならないと思う。
これまでのJUDIの活動で面白かったものは?
城川町でデザイン紀行した時に、三滝神社の春祭りに餅投げなどJUDIのメンバーと参加して、その後、茶堂が残っているので何箇所か見て回ったのが面白かった。
春だったので、川津南地区が環境デザインという観点で良いので見てもらった。それから宇和島市内に出て宇和島城や木屋旅館に。木屋旅館は司馬遼太郎さんなんかが泊まったりしたところ。宿泊したのは木造2階建ての宝泉坊ロッジで当時一泊2500円だった。ここも景観が良い所だ。
他に愛媛で行った環境デザイン紀行では、しまなみ海道も面白かった。大島の亀老山展望台とか、伯方島の神社や街並み、平山郁夫美術館などを見た。
高知県の馬路村や、森林鉄道も面白かった。
興味深い事例をおしえてください。
伊予市双海町に若松進一さんという、夕日のまちづくりを成功させた人がいる。日本一美しい夕日のまちとか、落ちる夕日が立ち止まるまちとか、色々キャッチフレーズをつくっている。彼が人間牧場というセミナーハウスつくっていて、あそこは、海岸からすぐ山になっているが、中腹にセミナーハウスを建てて、そこに座ると目の前に瀬戸内海が広がる。山口県からずうっと先まで見える。
そこで五右衛門風呂に浸かって覗いたら目の前は瀬戸内海。あそこはおもしろい。色々なまちづくりの人が来て、話出したら止まらないような人ばっかりだ。また、建築士会の青年委員会のメンバーらが今年の夏何かやろうかと言っているのでぜひ参加してほしい。夏はちゃんと蚊帳をはって蚊に喰われないようにする(笑)。
JUDI会員へのメッセージ
建築家は建物しか目に入っていないこともあるが、都市環境デザイン会議で議論をしていると、建物を造る上でもしっかりした環境デザインの考えを持つ必要があると分かると思う。
建築士がまちの景観を壊すような仕事をやってたりすることがある。例えば綺麗な街並みのなかにポツンと赤い建物ができたりして、よく目立つけれどもそれでいいのかなと、そういうことを考えていかなければならない。特に建築をやっている人間には言っていかなければならないと思う。
郊外とか山間地でも景観に合った建物や看板の色彩計画をしていきたい。
景観法に基づいて景観計画が進められているので、建築士としても、建物だけ見るのではなく、景観全体を考えて仕事をする必要がある。
本田寿(ほんだ ひさし)
本田寿建築設計事務所 主宰
四国をデザインしている人々 本田寿さん:JUDI四国20周年記念事業