講義の概要
建築は立体物であり、とりわけその内部に空間があることに大きな特質があります。建築の設計は立体とその内部にある空間を計画することに他なりません。
この講義では、まず、図学基礎として、立体の射影と切断について学び、その後、住宅規模の小建築の三面図(平面図、断面図、立面図)やその立体表現である透視図、アイソメトリック、アクソノメトリック図法について学びます。
次いで2次元cadの作図技法の基礎を学び、cad特有の製図の特質について理解します。
最後に応用課題として、各自が好む建築空間設計を行い、スタディモデルやスケッチ作成を通して建築設計手法の基礎を学ぶとともに、その三面図化や立体表現化を2次元cadにて行います。最終的にはプレゼンボードにまとめあげ、総合的な設計図書として完成させます。
この講義は3つのStepで構成されています。
- Step1では、手描きで図面を描いて、図学の基礎を身に着けます。
- Step2では、Jw-cadというアプリを使って、パソコンで図面を描く技術を身に着けます。
- Step3では、今まで身につけた技術を用いて、実際に簡易な建築のデザインを行い、模型を作り、図面を描き、成果品をまとめます。
講義の進め方
- この演習では図面の描き方を身に付けますが、一から十まで手取り足取り教えたりはしません。このホームページや配布資料、教科書を読んで各自で進めていくのが最も効率が良いからです。上手くいかないことも多いと思いますが、その場合の質問とサポートを教員とTAが行います。
教室
- 第2回(建設系の初回)は、Step1とStep2の両方を説明します。教室は第1回のガイダンスの後で決定し連絡します。→C1-WS室になりました。
- 第3回〜第5回は、Step1の手書きの図面の作業です。教室はK203です。
- 第6回からのStep2以降は主にパソコンで図面を描きます。教室は第1回のガイダンスの後で決定し連絡します→C1-WS室になりました。
道具
第2回から手書き製図のための道具が必須ですので用意してください。
- 鉛筆またはシャープペンシル(必須)
- 太さの異なる線を描く必要があるので、鉛筆の芯をナイフで削って調整するか、太さの異なるシャープペンシルがあると便利です。しかし図面を手描きするのは、この講義が最初で最後になる可能性が高いので、今持っている道具でやりくりするのが良いかもしれません。
- お金に余裕のある人のために、一応紹介しておきます。シャープペンシルは0.5mmを使っている人が多いと思いますが、0.3mmとか、0.7mm、0.9mmなどもあります。2.0mmのシャープペンシルと芯研ぎ器のセットを使うという手もあります。しかしどれもけっこう高いです(^^;)
- 消しゴム(必須)
- 今持っているものでOKです。
- 添削用の赤ペンor赤鉛筆(必須)
- この講義では隣の人の図面を添削します。教え合うことは最も合理的に学ぶ方法です。
- 赤い線が描ければ何でもOKですが、重山は、4色ボールペン「ジェットストリーム太さ0.7」を愛用しています。
- 字消し板
- 字消し板があると、図面の細かい修正にとても便利ですが無くてもOKです。これを当てて消ゴムを使います。
- 三角定規(45°と30°の2種類)(必須)
- これは必ず必要です。100円ショップで10cmの小さな三角定規はあるようですが、あまり小さいと使いづらいので15cm〜24cmぐらいのものがお勧めです。大学売店には18cmを置いてもらうようにお願いしてあります。
- 三角スケール
- この講義で必須ではありませんが、工学を学ぶ学生は必ず持っているといって良いでしょう。三角スケールがあると、いろいろな縮尺の図面を描く際に、いちいち電卓を叩いたり暗算しなくて良いので便利です。最初は一般用15cmサイズで良いと思います。建築士用30cmサイズとかいろいろあります。
- コンパス(必須)
- これも必ず必要です。100円ショップに売っているものでもOKです。大学売店にもあります。
- 方眼紙(A4サイズ)(必須)
- 方眼紙に図面を描いて提出するので必ず必要です。大学売店に売っています。
- マスキングテープ
- 図面を描く際に方眼紙をテーブルに固定する際に、マスキングテープなどがあると便利です。100円ショップにもあると思います。
- 腕カバー
- 鉛筆で図面を描いていると、肘から小指にかけて、テーブルに触る場所が汚れがちです。服を汚さないために100円ショップで売ってるアームカバーが役に立ちます。重山もかつてトレペに鉛筆で図面を描いていた頃は、こんなのを身に付けていました。
ここから下は、Step3で使うので、来年1月から必要になります。
- ケント紙(必須)
- Step3のスタディ模型の作成に必要です。売店で売っています。
- スチレンボード(3mm厚)(必須)
- Step3のプレゼン模型の作成に必要です。売店に売っています。
- カッターナイフ/定規/カッターマット/適当な接着剤(必須)
- 「デザイン基礎」の講義で使ったものでOKです。
- スマホ(必須)
- 模型の動画の撮影〜YouTube公開に使います。
教科書など
- Step1の手描き図面の演習では、資料を講義中に適宜配布します。
- Step2からはパソコンで図面を描きます。その際には教科書として「やさしく学ぶJw_cad8」3200円+税が必要になります。売店などで購入するか、先輩からもらい受けてください。
※Step2の課題の説明は第2回に行うのでその時に教科書があると分かりやすいでしょう。
スケジュール
- 1.12/2(木)
- ガイダンス
- 2.12/6(月)
- 講義の概要の説明
- Step1の説明
- Step1-1 三面図 の説明
- Step1-2 断面図 の説明
- Step2の説明
- 3.12/9(木)
- Step1-3 芯線と躯体の平面図 の説明
- Step1-4 芯線と躯体の断面図 の説明
- 課題1-1, 1-2の添削と提出
- 4.12/13(月)
- Step1-5 アイソメ図とアクソメ図 の説明
- 課題1-3, 1-4の添削と提出
- 5.12/16(木)
- 課題1-5の添削と提出
- 実技試験
- Step2の説明(再)
- Step2-1 の説明
- 線・円の作図と消去
- 寸法の決まった図の作図と図面保
- 図面を開き、かき加えて印刷
- 課題2-1 自主作図課題①
- 6.12/20(月)
- Step2-2 の説明
- 家具の平面図の作図
- 部屋の平面図の作図
- 課題2-2 自主作図課題②③
- 12/22 19時 課題2-1 自主作図課題①の提出
- 7.12/23(木)
- Step2-3 の説明
- 文字の記入
- 寸法の記入
- レイヤの操作練習
- 図面枠の作図
- 課題2-3 自主作図課題④⑤
- 12/25 19時 課題2-2 自主作図課題②③の提出
- 冬休み
- 8.1/13(木)
- Step2-4 の説明
- 課題2-4 1階平面図の作図、2階平面図の作図
- 課題2-3 作図課題④⑤の提出
- 9.1/17(月)
- Step3の課題の説明
- Step3-1 スタディ模型の準備 の説明
- Step3-2 スタディ模型の作成 の説明
- 19時 課題2-4 1階平面図、2階平面図の提出
- 10.1/20(木)
- Step3-3 スタディモデルからの三面図作成 の説明
- Step3-4 スタディ模型と図面の相互添削 の説明
- 19時 Step3-2 スタディ模型の提出
- 11.1/24(月)
- Step3-5 平面図と断面図をダブルライン化する の説明
19時 Step3-3 模型ビデオと図面の提出
〃 Step3-4 添削された図面の提出 - 12.1/27(木)
- Step3-6 プレゼン模型の作成 の説明
- 19時 Step3-5 ダブルラインの平面図と断面図を提出
- 13.1/31(月)
- Step3-7 図面の作成とプレゼン資料のまとめ の説明
- 19時 Step3-6 プレゼン模型の提出
- 14.2/3(木)
- 作業日
2/5 19時 Step3-7 提出 - 15.2/7(月)予備日
- 16.2/10(木)
- 講評
成績評価
以下の方法で成績評価します。
- Step1 20点
- Step2 20点
- Step3 60点
- 最終成績は以下の条件によります。
- AA:90点以上
- A:80点以上
- B:70点以上
- C:60点以上
- F:60点未満
注意!
- 成果品のコピーについて
- この講義では、コンピュータを利用するため、Step2の成果品の提出にあたって、他人の成果をコピーすることがきわめて容易にできます。しかしそれは、愚か者の仕業となるでしょう。
- Step3では、限られた時間で、各自でオリジナルのフォリーをデザインすることになります。ここでは他人のコピーはできません。CADの腕を磨いておかなければ苦労するでしょう。