-空間を解析する−
レイヤの概念 GISにおける空間解析の第一歩は、様々なデータを同じ地理座標上に重ね合わせる事にあります。これを可能にするのがレイヤという概念です。下の図にあるように、空間データは多種多様なものがあり、それらは個別に作成されるのがあたりまえです。また、データはデータとして個別にあるほうが、作成する場合も更新や修正する場合も都合が良いものです。こういった事実から生まれたのがレイヤという機能です。レイヤはいくつものデータを個別に管理する一方で、必要に応じて重ね合わせのできるセル画のようなものです。このレイヤを用いる事によって、GISではデータ間の解析や処理が効率よく行えるのです。 |
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GISのグラフィックス表現 GISにおける空間データには、大きく別けてベクトルデータとラスタデータに分けることができます。ベクトルデータとは、点のデータをもとに組み立てられたデータのことであり、下図のように5種類の表現が可能です。最も簡単なのが点であり、病院や警察などの単純な分布位置を表現する場合に使います。線(Line)は道路や河川などの表現に使われることが多く、領域のデータは水域や敷地、区域などの表現によく使われます。面や立体は、建物や地形形状、景観などを分かりやすく表示する場合に使われます。 |
データ表現
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種類
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補足
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座標(X,Y,Z)
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点の集合
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視点と終点が同じ
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領域+高さ
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3次元幾何データ
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ラスタデータ ラスタデータとは、下の図のように画像のような形式をもったデータを指します。これもベクトルデータと同様、GIS上で扱われる標準的なデータ形式です。分かりやすく言うと、右下の図のようにラスタ配列と呼ばれる格子状のデータの集まりを意味します。例としては、衛星画像やスキャンした地図などがそれにあたります。また、ラスタデータと非常に似たものにグリッドデータが有ります。 |
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空間検索 GISにおいては、必要なデータを自由に検索できる機能が重要です。例えば、家や店を建てるとき、立地条件に合った土地を探す場合に行われる最適エリアの検索などがそうです。この空間検索は、人手で行おうとする場合、大変な人手と労力が必要なりますが、GIS上では特定の条件を入れてあげるだけですぐに結果を表してくれます。その例として、以下に距離マップとバッファリングについて示します。 |
<距離マップ> 左の図は土佐山田町中心部の建物と道路のデータを重ねたものです。そして右の図は、土佐山田駅を中心に、約60m離れるごとに背景の色が濃くなっています。この右の図は一般には距離マップと言われ、任意の対象地点を中心にして円状に距離の範囲を表したものです。例えば、駅から特定の距離上ににいくつ建物があるか、あるいはまたその密集状況がどうなのか等を知る事ができます。 |
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<バッファリング> 左の図は、それぞれ小学校、中学校、高校を中心に半径1kmの円を描いたものです。そして右の図は3つの円が重なる部分を抽出したものです。すなわち、どの学校にも1km以内で行ける範囲を示したものです。バッファリングはこのように点・線・面から一定距離内にある画素を抽出することを言います。 |
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空間解析 GISにおける空間解析の技術は、その柔軟性から限りなく幅広い用途に用いることができます。そのため、空間解析の全容を一言で明確に述べることは非常に困難です。しかしながら、我々の周りに存在するデータが空間の情報である限り、空間解析の技術はますます重要になります。以下に簡単な空間解析の例を紹介します。 |
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