自己充填コンクリートの問題を空気の力で改善
(2014.03)
あれから2年…亀島くんの研究は今

空気量を10%→5%に減らす挑戦をしています。
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- 前回の研究発表ムービーは2年前のものでした。自己充填コンクリートの価格を安くするという目標は、達成できたんですか?
- 亀島
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はい、普通コンクリートの1.2倍くらいまで下がりました。
従来の自己充填コンクリート(SCC)の価格が普通コンクリートの約2倍なので、
気泡潤滑型自己充填コンクリート(airSCC)では、目標を達成したと言えるでしょう。
卒論概要版はこちらです>>
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- 現在の研究目的は?
- 亀島
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空気量を前回の10%から5%に減らし、
「細かい気泡」の質の向上によって
セメント量削減によるコストダウンを目的としています。
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- 自己充填コンクリート(SCC)について研究しているところは、 この研究室の他にありますか?

- 亀島
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おそらく、日本ではうちだけでしょう。
世界では欧米でも研究されていますが、コンクリートの要求品質が高くないので
あまり研究する必要がないんです。
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- 要求品質が低いとは例えばどういうことですか?
- 亀島
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欧米はそもそも地震が少ないので、鉄筋量が少ないんです。そのため、コンクリートの充填が簡単です。 一方、日本は地震国で鉄筋量が多く、鉄筋の隙間が狭いため、流動性が高いコンクリートが求められています。
また、欧米では、振動締め固めによる、職人さんの健康被害に敏感なので、SCCが日本よりもかなり普及しています。
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- 現在の研究しているコンクリート(airSCC)を普及するとどうなりますか?
- 亀島
- 施工の良し悪しに関わらず、普通コンクリートとほぼ同価格でコンクリート構造物が設計通りの性能を発揮できるようになります。

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- 塩害によるコンクリートの劣化が問題となりますが、空気量が増えても大丈夫なんですか?
- 亀島
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水セメント比が低く、なおかつ気泡が独立しているため、大丈夫だと思います。
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- コンクリートの建造物は、未来にも作られつづけると思いますか?
- 亀島
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1990年をピークに建設量が減ってきていましたが、東北大震災で少し上がりました。
東京オリンピックもあるので、それまでは大丈夫かと・・・
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- 最近つくられた、立派なSCC建造物はありますか?
- 亀島
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大きなものはあまりないです。
今はトンネルの覆工コンクリートによく使われています。
完全な自己充填ではなく、それより安い「中流動+締め固め」で作られていますが、
airSCCの値段は、もっと安いと思います。
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- 卒論や修論の発表会では、コンクリート研究室の発表の中に、研究室の大目的・中目的・小目的というのが必ず出てきますよね。研究室の全体像を教えてください。
- 亀島
- 研究が進むにつれて、研究目的は変わっていきますが、2015年の段階では、下の図のようになっています。
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- 今日は、ありがとうございました。
