ーリモートセンシングー

衛星リモートセンシング

 宇宙から地球観測衛星によって地球を遠隔探査する技術をリモートセンシングといいます。人工衛星にはセンサが取り付けられており、環境問題の解明や災害監視、資源調査等を目的として、地球の様子を常に観測しています。地上数百qから一度に広い範囲の状況の情報が取得でき、森林、農地、市街地の識別だけでなく、地表面の温度や、海流の動き、大気の様子等を調べることが出来ます。

 

リモートセンシングの利用・研究分野

 

衛星計測による利点

   ■一度に広範囲のデータが得られる

   ■データが均質である

   ■周期性がある

   ■単価が安い

   ■目に見えないものが見える

 

 観測とセンサ

 衛星リモートセンシングは大きく分けて、受動式と能動式があります。受動式リモートセンシングとは、太陽の光が地球に当たってはね返った電磁波と、地球自身が放射する電磁波を観測するものです。それに加え、能動式リモートセンシングとは、衛星自身が電磁波を地球に向けて発射し、その反射を観測する様式のことを指します。地球観測衛星には色々な種類のセンサが取り付けられていますが、基本的にそれらが観測しているのは電磁波なのです。

 

 

電磁波の特性を知る

 全ての物体は、電磁波を反射・吸収もしくは放射し、それらには固有の特徴があります。太陽の光は電磁波です。携帯の電波も電磁波です。色や熱も電磁波です。電磁波は光と同じ速度で直進し、障害物に対して反射・屈折し、場合によっては透過する性質を持っています。すなわち、電磁波の特性を知ることによって、物体の識別や判別ができるのです。ちなみに人間は、色という電磁波を眼というセンサによって認識し、物体を判別しています。

 

電磁波の種類と波長

 図は電磁波の波の長さ、いわゆる波長とその長さにおける名称を示した図です。電磁波の波長は、左側の紫外域に近づくほど短くなり、原子や分子ほどの長さしかないのに対し、右側のマイクロ波に近づくほどmmやcmのように長い波長になります。また、人間が認識できる範囲の波長は0.4μm〜0.7μmと非常に狭い範囲であり、この範囲において人間は全ての色を認識しています。この図を見ると、いかに人間がわずかな情報しか得ていないのかが分かります。しかしながら、様々なセンサを用いることによって、我々は目に見えない赤外域やマイクロ波領域ひそむ情報を取得することができるのです。

 

地表面の分光反射特性

 物体には、それぞれ特に強く電磁波を反射・吸収・放出する波長域があります。これを、一般に分光反射特性と言い、衛星画像から植生や水域、土や構造物などを判別する指標になります。下の図は、波長帯の長さにおける物体の分光反射・放射特性を表したものですが、それぞれ、ある波長帯において突出した反射や放射があることが分かります。例えば、植生についての詳しい情報を得るには、波長が0.9μm前後の電磁波について計測すればいいことが分かります。 このように、物体(物質)には電磁波に対して固有の反射・放射・吸収特性をもっており、 それを計測することで人工衛星からの遠隔探査が可能になるのです。

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