ー衛星データの解析ー

衛星データについて

 観測衛星にはそれぞれ、観測バンドというものが存在します。バンドとはそのセンサが感知する特定の電磁波の幅を示しており、人工衛星によってその数や観測波長帯は様々です。例えば4つのバンドを持っていれば、一回の観測で4種類のデータが取得できることになります。取得された地球のデータは地上に送信され、様々な補正が行われた後、我々は画像として見ることができます。衛星画像を解析する場合、各バンドにどんな情報が含まれており、どうやってそれを抽出するかが重要になります。

 

Landsat_TMの例

 ランドサットは、世界で最も利用されているアメリカの観測衛星の名前です。7つの観測バンド(可視域3、近赤外域1、中間赤外域2、遠赤外域1)を持っています。 ここでは、Landsat_TMの衛星データを用いて、簡単な衛星データの仕組みや解析方法を紹介します。

<Landsat_TMのバンド表>
バンド
観測波長帯
観測項目
地表分解能
観測幅
1
0.45〜0.52μm
沿岸水
30m
185×185km
2
0.52〜0.60μm
植物活性
3
0.63〜0.69μm
クロロフィル吸収
4
0.72〜0.90μm
バイオマス、水塊
5
1.55〜1.75μm
植物水分、雪、雲区別
6
2.08〜2.35μm
熱水変質岩
7
10.40〜12.50μm
地表面、海面温度
120m

*分解能…衛星画像において、どのくらいの大きさまで判別できるかを表す。

*クロロフィル…植物に多く含まれる物質。

*バイオマス…植物や植物性プランクトンが光合成によって生産(変換)する有機物

 

Landsat_TM 各バンドの画像

*全てグレースケール(白黒)表示です。

*見やすいように濃度変換してあります。

Band1
Band2
Band3
Band4
Band5
Band6
Band7

 

トゥルーカラー表示

 下の画像は高知市付近の衛星画像です。写真のようにリアルな状態で見えます。しかしながら、Landsat_TMの7つの画像にはこのような画像はありません。すなわち、このような自然に近い画像を出すには、画像を合成する必要があるのです。

 

画像の合成

 人間の目で見える電磁波の領域を可視領域と言います。Landsat_TMのバンドの中でその領域を感知しているのは、バンド1、2、3の3つです。また、人間に見える全ての色はR(赤)、G(緑)、B(青)の3色を混ぜ合わすことによって表示することができます(光の三原色)。つまり、バンド1の画像に青のフィルターを通したものと、バンド2に緑のフィルターを通したもの、バンド3に赤のフィルターを通したもの、この3つを合成することにより、実写に近い画像を再現することができます。

 

そのほかの合成例

フォールスカラー
 ナチュラルカラー

バンド2→青

バンド3→緑

バンド4→赤

 植生が赤く強調される。

バンド2→青

バンド4→緑

バンド3→赤

植生が緑で強調される。

 

バンド間演算で植生を詳しく見る

 図はバンド間演算によって、植生活性度を算出した図です。植生が多いほど赤く強調されています。逆に水域や都市部など、ほとんど植生がないところは青く表示されています。衛星画像では、各バンドを足したり引いたりする演算が可能であり、特徴抽出等によく用いられます。

 

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