4.幾何補正


地球楕円体と地図座標の説明 

 幾何補正とは、デジタル地図や画像に座標を与えることである。しかし、一概に座標といっても、用途や国によって、地球楕円体の大きさの基準が異なるので、座標も異なる。

・楕円体の種類

楕円体名称
長軸
短軸
扁平率
利用
1984 WGS84 6378137 6356752 298.2572 GPS
1841 BESSEL 6377397 6356079 299.14 日本、韓国、インドネシア
1980 GRS-80 6378136 6356758 298.257 IUGG

 

・地図座標系の種類

ユニバーサル横メルカトール図法(UTM座標系)

 地球全体を経度6°毎に60の帯に分け、その中心子午線の赤道上の点を原点とし、原点における縮尺率を0.9996としている。

ガウス・クリューゲル図法

 横メルカトール図法(横軸等角円筒図法)。基本的にはUTMと同じ。日本が使用している地図座標系である。しかし、UTM座標系の原点は、日本の地図座標系(平面直角座標系・東京データムと呼ばれている)は原点を日本の地勢に合わせて19設け、原点における縮尺率を0.9999としている点にある。

※2000年以降、日本の座標系は、TOKYO(従来の平面直角座標系)から、測地成果2000という新しい平面直角座標系に変更している。これは、従来のBESSEL楕円体ではなく、GRS-80楕円体のITRF座標系を使用している。

※ITRF系(International Terrestrial Reference Frame:国際地球基準座標系):IERS(国際地球回転観測事業)という国際的な学術機関が構築している3次元直交座標系。この座標系では、地球の重心に原点を置き、X軸をグリニッジ子午線と赤道との交点の方向に、Y軸を東経90度の方向に、Z軸を北極の方向にとって、空間上の位置をX、Y、Zの数字の組で表現している。


ERMAPPER幾何補正ツールの説明

 メインウィンドウの"Process"-"Geocording Wizard" を選択すると下のようなウィンドウが表示される。

  

 これはERMAPPERの幾何補正ツールである。このツールには7つの機能がある。

機能名称
説明
Triagulation 地上基準点に三角網が存在する場合、それを考慮して補正していく機能。
Polynominal 地上基準点から画像に座標を与えていく機能。地図とのマッチングもできる。
Orthorectify using ground contorol point 画像とDEMと地上基準点を用いてオルソデータにする機能。
Orthorectify using exterior orientation 画像とDEMとカメラ位置のデータを用いてオルソデータにする機能。
Map to map reprojection 座標が存在するデータの場合、座標を変換する機能。
Known point registration グリッド状に座標が存在する場合、縦横の大きさと1点の座標のみで補正する機能。
Rotation 回転のみ。

 


 Polynominalの使い方

1.Polynominal Setup

"Satrt"(最初のウィンドウ)で"Polynominal"にチェックを入れ、幾何補正したいデータを選択した後に、ウィンドウ上段の"Polynominal Setup"を選択する。

 

そこに3つの項目がある。ここでは、内挿法を選択する。

内挿とは、有限個の観測値から、観測点以外の地点における点の値を推定することをさす。

名称
説明
Linear 一次内挿法 コントロールポイントが3点以上必要
Quadratic 二次内挿法 コントロールポイントが6点以上必要
Cubic 三次内挿法 コントロールポイントが10点以上必要

1次から3次までの内挿法が存在するが、次数が高くなるにしたがって、より平滑かつ鮮鋭化が行われる。

存在する観測点(コントロールポイント)の数や、使用方法にあわせて選択する。


 

2.GCP Setup

内挿法の選択が終了した後、ウィンドウ上段の"GCP Setup"を選択し、下に示すようなウィンドウを表示させる。

すでに幾何補正済みのデータと対照させて、幾何補正を行う場合には、"赤丸の部分"を選択して、対象データ(幾何補正済みのデータ)を入力する。

デジタイザーを用いて、コントロールポイントを入力する場合は、"青丸の部分"をチェックする。

※ただし、ここでは、幾何補正済みのデータも、デジタイザーも用いずに幾何補正する方法を説明する。

次に、"Output Coordinate Space"の設定を行う。

 

 

 

 

 

 

 

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