教会は地方都市の中心市街地から少し離れた国道沿いの住宅地に位置している。現在の教会はケヤキをはじめとした大木が植わっており、小さな森を形成しているため、森という神聖な場所に心を静め、祈りに集中できる場となっていることが特徴である。
本来の礼拝のスタイルは東西の方向を基準としたものであるが、姫路という町の区画(姫路軸)に東西軸を基準とした教会は相応しくない。そこで東西軸を基準とした壁を立て、それを姫路軸に適応したボックスで包むことにより町並みや景観を損なわない教会になる。外観は森のボリュームに囲まれた素朴でシンプルな表情であるが、内部に入ると東西軸と姫路軸が組み合わされることでズレが生じ、不思議な空間になっている。
また国道に面している環境は、礼拝を行う場として好ましくない。そこで、国道に対してなるべく開口部を設けず、外部と内部空間の境を閉ざし外の音を和らげる。地域に解放された空間にすることは大切であるが礼拝を行うに相応しい独特の静けさや神秘的な空間の質を獲得することこそ教会の根本のあり方である。
教会本来のスタイルで行う礼拝は、よりみことばに集中でき深く魂の内面へ沈潜する。神聖な内部空間を持つ教会になる。
制作者:平松武/佐藤友也