□新しいセンター/新しい木造
乾燥加工を始めとする製材を核として、二次加工まで総合的な住宅用構造材メーカーである、中国木材グル ープの新名古屋センターは、同社の木材加工・配送システムへの新たなチャレンジを象徴するに相応しい、 新たな空間であることが望まれる。 新名古屋センターは木造軸組構法とも枠組み壁構法とも異なる、木材そのものを「見せる」空間かつ構法が 採用される。すなわち、素材としての木材の品質や精度をプレゼンテーションする。 「木材そのものを直接的に表現する」建築。
□積み上げられた木材/木造ブロック
木材生産・流通時に見られる桟積みされた木材の束 我々は、その木材の束である木造ブロックを原イメージとし、ブロックのスキマとブロックの内部にオフィス を提案する。 外観は3856Gの木材を用いて、積み上げられた木材の圧倒的ボリュームを示すと共に中国木材グループのア イデンティティを象徴している。内部空間はラミナビームやドライビームの断面を始めとする部材そのもので 構成される。あらゆる諸室は木材そのものにつつまれ、木材そのものを直接的に表現する空間となる。
*大規模建築物(延床面積 1,000m2以上)の構造制限について 木材の炭化速度(0.6〜0.7mm/分)を考慮し、燃え代計算によって準耐火構造を可能とする。
□桟積みブロック
断面120×150のラミナビームE120を南北方向に、22.5mm角の桟木及び断面 120×150のラミナビームE150を東西方向に一定の間隔で交互に縦へ縦へと積み 重ね、さながら木材を天然乾燥している現場のように、桟積みブロックを構成する 桟積みブロックはおよそ10m×10m×3.5mを1ユニットとして全体として36m× 45m×7mの空間をつくり出す。桟積みブロックにより木材の圧倒的なボリューム 感が表現される。
□空間をクリヌク
この桟積みブロックをを様々な形で"クリヌク"という操作によってオフィス空間 を生みだす。オフィス空間は用途に応じて曲線的あるいは直線的な形状を持つ。 曲線的にくり抜かれるとオフィス空間は様々な角度で切り取られたラミナビーム、 ドライビームが形状を段階的に変化させながら異なる表情をもって展示される。 直線的にくり抜かれると例えば書庫の棚であったり、談話室のベンチというように 諸室にあった機能を持つことができる。
桟木を挟み、集成材を並べるピッチによって、 四方に隙間をつくる。隙間から漏れてくる太陽 の光、隣の諸室の灯り、向こうにいる人の気配 など様々な要素が見え隠れする空間が人が動く ことによって体感できる。それはまたくり抜か れたボリュームの境界の厚みによっても変化 する。諸室を分節する曖昧な境界が内部空間を 繋ぎ、また外部空間まで繋げられる。
制作者:梅原佑司/坂本宗志朗/鍋島麗人/青木隆祥/高橋宗兵/山崎円