■背景
現在展開されている多くの住宅では家族構成の変化やライフス タイルの変化に対応することは難しいと言える。日々変化する 住まい手の変化に固定された間取りを持つ住宅では柔軟に対応 することはできないからだ。住みづらくなった住宅は取り壊さ れ、新たな住宅に立て替えられる。これでは建築廃材を多く排 出してしまい環境に対して多大な負荷を与えてしまう。スクラ ップアンドビルドを繰り返す現在の住宅システムでは環境に負 荷を与えず、共生していくことは難しいと考える。 そこで住まい手のライフスタイルの変化や家族構成の変化によ って、建て替えをする必要なく家族構成の変化やライフスタイ ルの変化に対応することのできる新たなシステムを組み込んだ 住宅を提案する。 解体・新築工事の際に出る建築廃材を削減させ、環境に対する 負荷を軽減させる。つまり自然環境に対して、できる限り負担 をかけない、スクラップアンドビルドを前提としない住宅であ る。
■コンセプト
可動式家具を用いることにより、必要に応じて空間を区切りライ フスタイルと家族構成の変化に対して柔軟に対応することのでき る住宅。今回提案した住宅は、何もない大きな空間が機能諸室と 可動式家具が詰まった空間とに挟まれた構成となっている。大き な空間は一つの大きな諸室として夫婦二人でゆったりと使っても よいし、可動式家具を引き出し空間を区切ることによって細かく 必要な部屋を取って使ってもよい。また、将来子供が生まれ家族 が増えた場合にも同じように可動式家具を引き出し空間を区切る ことによって住まい手が必要に応じてスペースを変化させていく ことができるようになっている。また、2階にも1階と同じボリュ ームの大きな何もない屋外空間を取っている。天気の良い日は可 動式のタタミを持ち出し、周りの視線を気にすることなく家族や 友人達と食事をしたり、星空を見ることもできる。 同じ場所であっても時間の経過と家族によって空間が変化し、家 族と共に変化・成長する住宅。 このような住宅であればライフスタイルの変化や家族構成の変化 によって住みづらくなるということはなくなり、スクラップアン ドビルドを前提としない住宅となる。そして、家族で空間を作り 続けていくことによって愛着のもてる自分たちだけの"イエ"にな っていくと考えている。
■想定家族
今回住まい手家族構成は若夫婦と想定している。
■可動式家具
可動式家具にはcloset typeとshelf type、waffle typeと回転扉付きのopen type、そしてタタミボックスtypeの5つのtypeがある。 全てのtype共キャスターが取り付けられており自由に移動可能となっているので自分の好きな場所に配置することができる。また、 タタミボックスtypeは内部を収納としている。
制作者:青木隆祥