フィルタリング
- フィルタリングは,画像のノイズを軽減したり,エッジを強調したりすることができ,非常に重要な手法である.ここではフィルタリングとIDRISIでのその手順について解説する.
- フィルタリングは,基本的に画素の隣同士の値を計算することによって実現している.例えば,対象の画素において,右隣と左隣の画素の差をその画素の値とする計算をさすと,横方向の濃度の勾配画像が出来る.つまり,濃度変化が激しい所が大きな値,濃度変化がない所は小さな値となり,縦方向のエッジを抽出することが出来る.
- 原画像における対象画素の値がb,その左隣の画素の値をa,右隣の画素の値をcとすると,勾配はc-aで計算されるが,これを別の式で表すと,行列(a,
b, c)に対して(-1, 0,
1)をかけてたし合わせたものと言える.このようにフィルタリングは,その計算式を行列で表すことができる.例えば,横方向隣同士の平均値を計算するときは(1/3,
1/3, 1/3)を用いれば良い.
- 以上の例では横方向の隣同士を計算させたが,通常は,対象画素の回り8画素(3×3ウィンドウ)や24画素(5×5ウィンドウ)を計算に用いる.IDRISIでは,様々な行列パターンのフィルターが用意されており,ノイズ軽減やエッジ抽出,画像のシャープ化等をさせることが出来る.
- 「GIS Analysis」メニューの「Context
Operator」の「FILTER」を選択する.すると「Filter」ウィンドウが開く.
- まず,「Input image」と「Output
image」を入力する.
- Input
image:入力画像名(濃度変換前の画像ファイル名,ファイルを記述する枠の中をダブルクリックすれば一覧が表示される)
- Output
image:出力画像名(フィルタリング後の画像ファイル名,新規ファイルとなる.既存のファイルと重複しないように注意.)
- 次にフィルタリングの手法「Type of
filter」を選択する
- Mean:対象領域(3×3或は5×5)における平均値を計算する.ノイズは軽減されるが,ぼけた画像となる.
- Gaussian:ガウス関数を用いた計算をする.ノイズが軽減されるが,やはり画像がぼける.
- Median:対象領域の中央値を計算する.エッジをぼけさすことなくノイズが軽減される.
- Adaptive Box
- Mode:対象領域の最頻値を計算する.
- Laplacian Edge
Enhancement:ラプラシアン関数を用いた計算をする.エッジを抽出することが出来る.
- High
Pass:低周波成分をカットする.
- Sobel Edge
Detector:ソベル関数を用いた計算をする.エッジを抽出することが出来る.
- User-defined [3x3
kernel]:ユーザーが3×3の行列パターンに好みのフィルター関数を定義し,計算さすことが出来る.
- User-def.[variable size
kernel]:ユーザーが任意の行列パターンに好みのフィルター関数を定義し,計算さすことが出来る.
- すべてのパラメータを入力し,「OK」ボタンを押せばフィルタリングが始まり,変換後の画像が表示される.もし,変換後の画像で満足が行かない場合には,「Type
of
filter」やパラメータを変更し,フィルタリングを行う.