画像の濃度変換
- 通常,コンピュータのCRTで表現できる階調は,RGB各1byte(8bit)である.したがって,0〜255段階の明るさが表現できる.つまり,0が最も暗く,255が最も明るいと考えれば良い.ところが,リモートセンシング衛星によっては,10bitのデータや6bitのものがる.10bitデータの場合は8bitに調整する必要が有り,6bitデータの場合は暗すぎるため調整が必要である.また8bitデータであっても雲,陸域,海域とで輝度が全く異なるため対象によっては,明るすぎる画像や暗すぎる画像が得られる.そこで我々の見やすい画像に調整するため,画像の濃度(明るさ・コントラスト)を変換する必要がある.IDRISIでは,この濃度変換が可能である.ここではその手順について解説する.
- 「Display」メニューの「STRETCH」すると「STRETCH」ウィンドウが開く.
- まず,「Input image」と「Output
image」を入力する.
- 「Input
image」:入力画像名(濃度変換前の画像ファイル名,ファイルを記述する枠の中をダブルクリックすれば一覧が表示される)
- 「Output
image」:出力画像名(濃度変換後の画像ファイル名,新規ファイルとなる.既存のファイルと重複しないように注意.)
- 次に濃度変換の手法「Stretch
Type」を選択する
- 「Linear
Stretch」:線形変換を行う.原画像の濃度値をP,変換後の濃度値をQとすると,Q=a・P+b
によって変換される.ここで,aはゲイン,bはオフセットと呼ばれる定数である.このゲインとオフセットは,IDRISIでは原画像の最大値(Pmax)最小値(Pmin),変換後画像の最大値(Qmax)最小値(Qmin)より計算している.つまり,a
= (Qmax - Qmin) / (Pmax -Pmin),b = Qmin -
a・Pminで表される.極一般的な手法である.
- 「input Image
Parameter」:デフォルトの状態では原画像の最大値・最小値は自動的に求められるが,これを指定することによってユーザーが任意に指定できる.
- 「Output Image
Parameter」:デフォルトの状態では変換後の最大値・最小値はそれぞれ255と0にセットされるが,これを指定することによってユーザーが階調の数と最大値を任意に指定できる.
- 「Histogram
Equalizaton」:画像のヒストグラムに着目し,原画像のヒストグラムを他の望ましいヒストグラムに変換することをヒストグラム変換という.一般ににヒストグラムを平滑化(Equalize)するような変換がなされる.ヒストグラムを利用するので「input
Image Parameter」は指定する必要がない.「Output Image
Parameter」は,ユーザーが指定できる.
- 「Linear with
Saturation」:基本的にはLinear
Stretchと同じであるが,最大値・最小値はヒストグラムの両端何パーセントをカットするかを入力することによって計算される.したがって,「input
Image
Parameter」を指定する代りにカットするパーセントを「Percent to
be saturated」に入力する.
- すべてのパラメータを入力し,「OK」ボタンを押せば濃度変換が始まり,変換後の画像が表示される.もし,変換後の画像で満足が行かない場合には,「Stretch
type」やパラメータを変更すべきである.