データの表示


GISで扱われるデータは,ラスターデータとベクトルデータとに大別できる.ラスターデータとは,ある範囲を格子状に区切り,格子点ごとにデータが納められている形式のものをいう.デジタルカメラやスキャナなどで取り込まれる画像データはラスターデータの代表的なものである.一方ベクトルデータは,ポイント(点),ライン(線),ポリゴン(面)等を表すのに用いられ,ポイントであればその位置座標が,ラインであれば始点と終点の位置座標がデータとして納められている.ここではIDRISIを用いてそれらデータを表示する手順について解説する.

  • ラスター画像,ベクトル画像の表示
  • ベクトル画像の重ね合わせ表示
  • 座標の表示
  • ファイル属性の表示
  • ファイルの中身の値を表示


ラスター画像,ベクトル画像の表示

  • 画像には,たくさんの形式のものがある.例えばモノクロ画像なのか,カラー画像なのか.カラー画像であれば,RGBの3つのチャンネルを使ったカラーコンポジット画像なのかカラーパレットを使った擬似カラーなのか.どんな画像を表示するかを常に意識しなければならない.
  • 「Display」メニューの中の「DISPLAY Launcher」を選択する.すると,データ表示パラメータ入力用のウィンドウが開く.
    • 「Type of file to display」:ラスターデータなのか,ベクトルデータなのかを指定する.ラスターデータの場合は「Image file」ラジオボタンをチェックする.
    • 「Name of file to display」:表示する画像のファイル名を入力する.入力する窓をダブルクリックすれば,表示できるファイル名のリストが表示されるのでそれを利用するのもよい.
    • 「Palette option」:使用するカラーパレットを選択する.
      1. Grey256:モノクロ画像を表示する時に使用する.衛星画像の1チャンネルのデータを見たい時,カラーのTIFFやBMP,JPEG画像を変換してRGBのうちの一つのチャンネルデータだけを見たい時に利用する.
      2. Color Composite 256:RGBそれぞれのデータをコンポジット(合成)した画像を見る時に利用する.あらかじめ,コンポジット処理をさせてから出ないと見ることはできない.なお,ベクトルデータはこのパレットは使えない.
      3. その他:標高や気温等,色々な値のデータを見るのに使う.また,ユーザが作成したカラーパレットも使うことができる.
  • 表示画像の拡大率を指定し,「OK」ボタンを押せば,「画像」と「Composer」が表示される.
  • 注意:表示された画像が,自分の想像していた画像と程遠い色であった場合には,後からカラーパレットを変更できる.そのためにはまず,「Composer」ウィンドウ中の「Property」をクリックし,「Layer Property」ウィンドウを表示させる.次に,「Palette file」をダブルクリックし,妥当なカラーパレットを選択すれば良い.


ベクトル画像の重ね合わせ表示

  • ラスター画像はすべてのセルに値が埋められている.したがってラスター画像同士を重ね合わせるには「OVERLAY」「SCALAR」「TRANSFOR」等の機能を使った処理が前もって必要である.一方,ラスター画像上にベクトル画像を重ね合わせるのは,簡単である.ベクトルデータは,ポイントやラインで表現できるため,背景となるラスター画像が全て覆いつくされることはほとんどないためである.
  • ベクトルデータを重ね合わせるには,「Composer」ウィンドウ中の「Add Layer」をクリックし,「Add Layer to Composition」ウィンドウを表示させる.
  • 「 Vector File to Display」に重ね合わすファイル名を入力し,「Symbol File」を選択した後,「OK」ボタンを押せば重ね合わせ表示される.


座標の表示

  • 地理情報システムで取り扱う画像は,画像座標と地上座標とが連携されていなければならない.画像座標は画像の左上点を原点とし列(colum)方向と行(row)方向が正となる座標系であり,地上座標系には緯度経度ならば赤道とグリニッジ子午線との交点を原点とする角度で表した座標系や,ある点を原点とし極値的に平面直角座標で表した座標系のものがある.IDRISIでは画像座標と地上座標を同時に表示している.
  • 画像を表示した時,一番下のcとrにマウスポインタの位置における画像座標が,xとyに地上座標が表示される.
  • 平面直角座標の画像例と緯度経度座標の画像例を参考にされたい.


ファイル属性の表示

  • 先の例で,地上座標と画像座標が連動していたのは,画像に座標に関する属性情報が入っているからである.属性情報は座標だけでなく,画像の値の単位や値の型等の情報が納められている.
  • 属性情報を表示するには,「file」メニューの中の「Metadata」を選択する.すると,属性表示ウィンドウが開く.
  • 属性表示ウィンドウで,適当な画像ファイルを選択すれば,その属性情報が右側の大きなウィンドウのPropertyに表示される