ファシリティマネジメント

2017.1.24

新しいプロジェクト資金調達と執行システム

近年は公共サービスの提供主体や原資が変わりつつあります。

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「PFI(Private Finance Initiative:民間資金活用)」、「PPP(Public–private partnership:官民連携)」、「コンセッション(Concession:施設営業権)」などの呼称で、これまでは官庁が税金を原資として行ってきた公共事業を、民間のノウハウを用いて運営する事例が増えてきています。

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PSC(Public Sector Comparator:公共事業として実施した場合の公的財政負担見込額の現在価値)

PFI/PPPの形で事業をするかどうかの意思決定において、まず公共団体は自身が公共事業の形で行った場合に発生する建設費や維持管理費、リスク対応費などを織り込んだ総費用(LCC: Life Cycle Cost)を現在価値の形で算出します。これをPSC(Public Sector Comparator)と呼びます。
PSCに対して、PFI/PPPの形で事業を行った場合に行政側が負担する金額の現在価値を比較し、有利であればPFI/PPPの形で事業をする方向性が決定され、民間事業者の選定方法の検討に進んでいくことになります。その際、コスト比較だけではなく、サービス水準の維持・向上ももちろん重要な検討要素となります。

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Project Finance(プロジェクトファイナンス)

PFI/PPP事業においては、その契約条件によって民間の事業主体が自ら資金調達を行う必要が求められる場合も出てきます。民間企業の資金調達は会社の信用力や土地などの資産を担保とした融資を受けて資金を調達すること(コーポレートファイナンス)が一般的です。これに対して、プロジェクト自体の事業キャッシュフロー(例えば、発電所の場合は売電収入と支出の差額)を返済原資とする事業融資をプロジェクトファイナンスといいます。
親会社等から出資・融資を受けたSPC(Special Purpose Company:特定目的会社)が綿密なリスク把握をし、親会社、関連企業、金融機関などの間で交渉を行い、適切なリスクシェアリングを形成し、契約書の形でとりまとめて事業が動き出します。
この場合、親会社への依存が無いか限定的なものとなるため、プロジェクト破綻時の親会社への負担は限定的なものとなります。その一方で、融資の際はプロジェクト自体の価値が綿密に審査されることになります。